今日はボクの誕生日

だけれどボクの恋人は

遠い遠い空の下















十文節のラブレター















ふらりふらりと歩き出し

気付けばいつものこの場所へ

白い白い新雪に

隠れた切り株、思い出なごり




両手を使い

新雪払い

ボクのおしりは切り株へ




深い深い夕焼け空を

二つの瞳でしばらく眺め

そぅっと一言つぶやいた


「うぐぅ」




何故ボクはここにいるんだろう……
どうして君がここにいないんだろう……

考え出したら涙があふれ

ぽろりぽろりと止まらない





こぼれた雫は大地へぽろり

白い大地は雫でじわり

じわり雪解けその下の

青い便せんさらけでた





不思議に思って拾ったそれは

サランラップにくるまれた

恋人からのボクへの手紙





あわてて、ラップを外したら

すぐさま封をこじ開ける

くるっと封筒、逆さにしたら

ボクの右手に小さな感触

銀に輝く小さな指輪

ボクの右手に存在してた





手紙を脇に挟んでおいて

色々指にはめてみる

結局ぴたり、収まったのは

ボクの左手、薬指






今度は手紙を取り出して

じっくり彼の文字を追う









――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


あゆへ


これを読んでる頃には既に誕生日を迎えている事だろう。


だから、悪いがそのことを前提として話させてもらう。


まずは十八才の誕生日おめでとう。


プレゼントはこの手紙と一緒に入っているはずだ。


俺の全てが込められている物なので、どうか受け取って欲しい。


いきなりそんな物を渡して驚くかも知れない。


だが、身につけてみれば鈍いお前でもその意味に気付いてくれると思う。


それと、誕生日にそばにいれなくて、ごめん。


だから、お詫びと日頃の感謝を込めて普段は言いたくても言えなかったこの言葉を贈る。


あゆ、愛してる


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――









ぽろりと再び涙がこぼれ

声にならないこの想い

ゆっくり頬をつたいゆく





胸に抱いてる小さな手紙

優しいぬくもり感じさせ

ボクをそっと暖める






再び夕焼けお空を見つめ

今は届かぬこの想い

彼に届けと奇跡を願い

そぅっと言葉に紡いだら

生まれたばかりの小さな風に

そぅっとそぅっと託して祈る



「祐一君、ボクも愛してるよ……」




SS一覧へ